鬼の亡霊 (おにのぼうれい)


昔、天座の村人が牛を連れて大江山に登った時、霧の中から角を生やした真っ赤な顔の怪物が現れた。
村人は動かなくなった牛を叱り飛ばし、命からがら逃げ帰ったという。
話を聞いた村人たちは、これは大江山に残る鬼の亡霊だと考え、鬼が現れた日(八月十日)を「鎌止め」と定めた。
鎌止めの日は鎌を使ってはならない、また牛は鬼のような角があるので外に出してはいけないとされ、村人たちは九日の夜から当番の家に集まり、大般若経を奉読して鬼の亡霊を弔ったという。

『ふるさと探訪 大江山』「鎌止め」
『福知山市北部地域民俗文化財調査報告書 -三岳山をめぐる芸能と信仰-』「大江山伝説」より


かつて大江山を根城にしていたという鬼・酒呑童子(またはその家来?)の亡霊が彷徨い出たのでしょうか。
文中に出てくる大般若経(五百九十巻)は、源頼光が酒呑童子を退治した時に書写したものと言われており、現在も天座地区に保管されています。
ちなみに現地の人に聞いたところ、鎌止めの風習は何十年も前に途絶え、現在は行われていないそうです


伝承地:福知山市天座