武家屋敷の怪 (ぶけやしきのかい)*
享保十二年(1727)九月六日、田辺城下を焼き尽くす大火事が起こったが、この火事の前に不思議なことがあった。
春頃から、朝野五右衛門という侍の屋敷の台所で、夜になると火打石を打つような音が聞こえるようになった。
狐の仕業かと五右衛門が台所を確認すると、白衣(*)が火打石を打っていた。
近寄って斬りつけようとしたところ、白衣は鳥のように庭へ飛び去ったという。
また、古河甚右衛門という侍の屋敷では、初夏の頃から三、四十人程の人が三味線、笛、鼓、太鼓などを鳴らし、小声で踊るような音が聞こえることがあった。
だがこの時、甚右衛門一家は京都に移り住んでいて、屋敷の門は閉じられていたという。
『滝洞歴世誌』より
(*)原文では「白衣にて火を打ちおる」としか書かれていないので何者かは不明です。白衣をまとった狐?
伝承地:舞鶴市南田辺(田辺城下町)