大ぼんさん (おおぼんさん)


ある日、小橋の友八という家で、大量に獲れた小女子を一日かけて炊いていた。
すると夜の九時~十時頃、“大ぼんさん(大入道)”が現れ「その魚、わしにも食べさせてくれ」と破れ鐘のような声でせがんだ。
家の人は最初こそ怖がったが「なんだ、小女子なら沢山あるから食べなさい」と言って、皿一杯の小女子を大ぼんさんに渡した。
大ぼんさんは小女子を食べ終わると「ごちそうさん」と言って慌てて家から出た。
家の人は不審に思い後をつけると、大ぼんさんは山ノ神神社の方へ歩いて行った。
神社付近は狸の棲み処とされているので、家の人は「大ぼんさんは狸が化けたものに違いない」と考え、家へ引き返した。
それからも狸は怖いものに化けて毎日家に来たが、帰るまで正体がわからないので、家の人は怖くて外へ出られないこともあったという。

『わが郷土 丸山小学校創立百周年記念誌』「こうなごとたぬき -小橋-」
『子ども風土記』「大ぼんさん」より


小橋では毎年三月十日と九月十日、野原峠にある山ノ神神社にオコゼを供えて豊穣を祈る風習があります(現在も続いているかは不明)。
供えたオコゼは一晩の内になくなるそうですが、これは近くに棲む狸が食べているのだと考えられています。


伝承地:舞鶴市小橋