茶臼山の白狐 (ちゃうすやまのしろぎつね)
ある夜、茶臼山の麓に住む「よっさえもん」という男が家族を連れて隣村に芝居を観に行った。
だがどこからか「よっさえもん、火事」という声が何度も聞こえるので、気になって家に戻ると、下女が消し忘れた提灯の火が塀に燃え移っていた。
よっさえもんが高塀の上を見ると、御幣を咥えた白狐が、母屋への延焼を防ぐようにぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
火はすぐに消し止められたので大火事にはならず、白狐も火が消えると同時に姿を消した。
よっさえもんは「茶臼山の稲荷のお使いである白狐に違いない」と思い、早速油揚げや赤飯を供えた。
それ以来、事あるごとに白狐の好物を供えるようになってからは、茶臼山の麓で火事は起こらなくなったという。
『行永史』「茶臼山の白狐」より
伝承地:舞鶴市引土・茶臼山付近