狸憑き (たぬきつき)


昔、ある老人が山で狸のミイラを見つけた。
可哀想に思った老人はミイラ抱いて山を下り、海へ流した。
だがその日から老人は呆けてしまい、山へ行っても弁当を食べずに大豆ばかり貪るようになった。
そこで彼の妻が寺の和尚に相談すると、和尚は「老人には狸の霊が憑いていて、狸は「帰るところがない」と言っている」と告げた。
海に流された狸の霊は海上をさまよった末、老人に憑いたのだという。
その後も狸の霊は離れず、老人は痩せ細っていき、遂にミイラのようになって死んだという。
山で狸のミイラを見つけた場合は、その場に埋めて念仏を唱えれば憑かれないという。

『舞鶴の民話 第一集』「タヌキつき(小橋)」より


老人は良かれと思って海に流したのに、葬送方法が違っていたがために取り殺されてしまうとは……何だかやるせない話ですね。
ちなみに『わが郷土』と『子ども風土記』という本にも同じ話が載っていますが、この二冊には狸に憑かれた老人がミイラ化して死ぬという描写はありません(「長い間狸に憑かれた」だけで終わっている)。


伝承地:舞鶴市小橋