長田野の送り狼 (おさだののおくりおおかみ)*
昔、長田野に送り狼が棲んでいて、人を化かしたり喰い殺したりしていた。
ある秋の日、鋳物師町の男が隣町から自宅へ帰っていたが、途中で日が暮れてしまった。
そして男が松縄手の松林に入った途端、頭がツーンとして寒気が走った。
ふと気づくと、後ろから人ではない何かの足音が聞こえてくる。
男は「送り狼が出た」と思い、荷物の中から餅を一つ取り出して背後へ投げると、足音は止まった。
だがしばらくするとまた足音がついてくるので、再び餅を投げて足止めした。
そうして餅を投げつつ、男は人家のある所まで戻って来た。
男は残った餅を全てばらまくと、近くの家へ逃げ込んで玄関の戸を閉めた。
すると送り狼は外から玄関戸に何度も体当たりをし、カリカリと爪で掻きむしった。
男と家人は送り狼に侵入されないよう、必死に戸を押さえ続けていると、やがて静かになり、遠くから送り狼の遠吠えが聞こえた。
男は送り狼につけられた恐怖から、その夜は逃げ込んだ家に泊めてもらい、夜明けを待って帰宅したという。
『福知山の民話と昔ばなし集』「送り狼」より
→小峠の送り狼(京丹波町)
→天王はんの送り狼(福知山市)
→厚垣の送り狼(宮津市)
伝承地:福知山市長田野町