博奕岬 (ばくちみさき)


大浦半島の先端に“博奕岬”という岬がある。
この岬にまだ名前がなかった頃、ここでクジラの大王と竜神が出会い、互いに自分の強さを自慢し合った。
「俺は世界の海をまたにかけて泳いでいる。どんなに深い海でも潜ることが出来るし、俺より大きな魚はいない」
「私は空を高く飛べる。速さだって誰にも負けない」
両者の自慢合戦はいつまでも終わらず、遂に「腕ずくで決着をつけよう」ということになった。
だが竜神は女なので力勝負は分が悪い。そこで知恵比べで雌雄を決することにした。
そして大王と竜神は近くの海岸に転がる黒と白の石を使い、囲碁で勝負した。
だが残念ながら、その勝敗は伝わっていない。
それ以来、この岬は“博奕岬”と呼ばれるようになったという。

『京都 丹波・丹後の伝説』「博奕岬」
『舞鶴の民話 第一集』「博奕岬(瀬崎)」より


文献では大王と竜神の囲碁対決の勝敗は不明となっていますが、ネット上の個人サイトを覗くと「引き分け説」や「竜神勝利説」など、様々な説が伝えられているようです。
ちなみに博奕岬は『丹後風土記残欠』には「二石崎」、『丹哥府志』には「波口崎」と書かれていて、いつ頃から「博奕岬」と呼ばれるようになったのかはわかりません。
ただ『丹哥府志』が編纂されたのは江戸時代後期なので、博奕岬の伝承が生まれたのはそれ以降と考えられます。


博奕岬
瀬崎海岸から臨む博奕岬。
現在、博奕岬周辺は海上自衛隊の管轄地になっているので近づくことは出来ません。


瀬崎海岸
博奕岬近くの瀬崎海岸。
大小様々な石がひしめいています。
クジラ大王と竜女神はこの浜の石を使って囲碁を打ったと伝わります。

伝承地:舞鶴市瀬崎・博奕岬