古坂峠の狐 (ふるさかとうげのきつね)*
ある夜、後川の村人二人が篠山の祭に行き、ご馳走の入った包みを担いで帰っていた。
古坂峠にさしかかると、対面から片方の村人の妻が歩いてきた。
妻は「帰りが遅いので迎えに来ました。そのご馳走は私が持ちましょう」と言って包みを取ろうとした。
だがその時、妻の目がギラッと光り、鼻がビクビクと動いた。
それを見た村人は「何かが化けている」と思い、小刀で胸を刺すと、妻は「キャン」と鳴いて姿を消した。
急いで家に戻ると、寝ていた妻が飛び起き「今、あなたに胸を刺されたと思ったら目が覚めた。夢で良かった」と言った。
翌朝、再び古坂峠に行くと、胸を刺された大きな狐が死んでいたという。
『郷土の民話(丹有編)』「峠の狐」より
化けられた妻が夢の中で化けた狐と同じ体験する、というのは面白いですね。
ちなみに舞台となった古坂峠はトンネル開通により、現在は廃道となっています。
伝承地:丹波篠山市後川中・古坂峠