菖蒲が池の大蛇 (しょうぶがいけのだいじゃ)*
ある時、雲門寺の普明国師は余部の村人から「村の途中に菖蒲が池という池があるが、夜になると大蛇が出てきて村人を脅かすので困っている」という話を聞いた。
国師はそれから毎日、菖蒲が池の畔で祈祷を続けたが、池はざわめくものの、遂に大蛇の姿を見ることは出来なかった。
数日後の朝、寺で読経する国師の元に黒髪の美女が現れ「私は菖蒲が池に棲む大蛇です」と言った。
「私の願いを聞いてもらおうと村人に話しかけましたが、皆逃げてしまい、時には私を殺そうとする人までいました。ですがここ数日の国師の祈祷によって昇天の化を得ることが出来ました。長らく池に棲まわせてもらったお礼に水珠を形見に置いていきます」
そう言うと美女は大蛇に姿を変え、海に入って雲を巻き起こし、天へ昇って行ったという。
『まいづるの道』「雲門寺の水珠」
『舞鶴の民話 第二集』「龍珠(中舞鶴)」より
大蛇からもらった水珠は雲門寺の寺宝になったと伝えられています。
伝承地:舞鶴市余部下(雲門寺は明治時代に余部下の菖蒲が丘から余部上に移転。菖蒲が池も余部下付近にあった?)