厚垣の送り狼 (あつがきのおくりおおかみ)


ある夜、落山集落の女が伊根町本坂の製糸工場から帰っていた。
その途中、厚垣の神社を通りかかると、境内から白い犬のようなものがコロコロッと転がってきた。
それは先に立って歩き出したが、犬や猫でもない、見たことのないものだった。
女は「これは送り狼だ。落山まで来るんだろうか」と思い、怯えながら夜道を進んだ。
やがて遠くに落山集落が見えた時、女は「送り狼に送ってもらった時は礼を言えば帰って行く」という親の言葉を思い出した。
そして「よく送ってくれた。ここからは一人で大丈夫だから帰ってくれ」と言うと、送り狼は踵を返し、厚垣の方へ走り去ったという。

『みやづの昔話 -北部編-』「送り狼」より


他の地域の送り狼はこちら。
小峠の送り狼(京丹波町)

伝承地:宮津市日ヶ谷(落山・厚垣共に日ヶ谷内の集落)