勝負橋 (しょうぶばし)


昔、明石の大家に下働きの男がいた。
ある時、男は大江山へ向かう途中で、道の真ん中にいた小さな蛇を蹴り飛ばした。
すると蛇は怒り「けしからん。お前を取り殺してやる」と言って大蛇になった。
男が懸命に命乞いをすると、大蛇は「明日の昼、明石の近くの小川に架かる橋の上で勝負して、お前が勝ったら許してやる」と提案した。
蛇から解放された後、男は村の庄屋に相談したが、二人とも勝ち目のない戦いに打開策を見出せずにいた。
するとそこに旅の六部が現れ、二人から事情を聞くと「すぐに習得出来る」と言って男に鎖鎌の使い方を指南した。
翌日、男は鎖鎌を手に小川の橋へ向かうと、対岸から侍に化けた蛇が現れた。
そして鎖鎌の男と二刀流の侍の勝負が始まったが、男は練習したように鎖鎌を上手く扱えず、絶体絶命になった。
遂に男は観念し、目を閉じて闇雲に鎖鎌を振り回した。
すると偶然、鎖が侍の刀に巻きつき、気づいた時には鎌が侍の首を斬り落としていた。
死んだ侍が蛇に戻った後、男は蛇の首を明石の入口に、胴体を庄ヶ崎の大きな松の根元に埋めたという。
それ以来、男と蛇が戦った橋は“勝負橋”と呼ばれるようになった。

『丹後の民話』「勝負橋」より


伝承地:与謝野町明石(勝負橋の位置は不明。現存していない?)