世屋の狐 (せやのきつね)


昔、世屋には多くの狐が棲んでいたという。
ある夏の夜、世屋の村人が山の田圃に行くと、月夜でもないのに竹皮笠のような赤い月が見えた。
不思議に思った途端、赤い月は消えて真っ暗になったという。

また、昔は世屋から伊根町の浦嶋神社へ参る時は山道を通っていた。
ある時、二人の村人が浦嶋神社から帰っている途中、辺りが仄暗くなり、道がわからなくなった。
二人は道を探して右往左往し、やっとのことで世屋に戻ったが、道なき道を進んだので体中擦り傷だらけになっていた。
「世屋の狐に化かされた」と言って、しばらく評判になったという。

『丹後の民話 第一集 いかがのはなし』「ふしぎなはなし」より


伝承地:宮津市上世屋