狸憑き② (たぬきつき)
昔、大宮町の三代右衛門という男の妻に狸が憑いた。
面白がった村人が三代右衛門の家を覗くと、妻は火鉢の前であぐらをかき、奇妙な顔つきでキョロキョロと珍しげに周囲を見回していた。
三代右衛門は妻を何人もの医者に診せたが治らず、近所の人の薦めで拝み屋に拝んでもらった。
すると妻は「私は妙ヶ谷の狸だ。小豆飯と油揚げが食べたくなったのでこの女に憑いた。それらを弁当に詰めてくれたら帰る」と言った。
すると妻は「私は妙ヶ谷の狸だ。小豆飯と油揚げが食べたくなったのでこの女に憑いた。それらを弁当に詰めてくれたら帰る」と言った。
それを聞いた三代右衛門は急いで小豆飯と油揚げを重箱に詰め「さぁ弁当が出来たぞ。妙ヶ谷まで送るからついてこい」と妻に声をかけた。
すると後ろからペタペタと足音がついてくるので、三代右衛門は振り返ることなく一生懸命歩き続けた。
「帰ったら小豆飯と油揚げを皆に分けてやってくれ」と言いながら、やっとのことで妙ヶ谷に着くと、急に背中の弁当が軽くなった。
仲間の狸が迎えに来たのだと思い「弁当を置いたぞ」と言って一目散に家へ戻ると、笑顔の妻が三代右衛門を迎えてくれたという。
『おおみやの民話』「狸のついた嫁さん」より