雀の恩返し (すずめのおんがえし)
志楽庄の竹きり宗兵衛という男は、毎日南東の山麓にある竹林で竹を伐っていた。
ある日、いつものように竹を伐っていると、伐った竹の間から一羽の小雀が現れた。
小雀は笹葉に挟まっていたらしく、「チェチェチェ、ありがとう」と言うように飛んだ。
するとそれまで姿を隠していた雀たちが、鳴きながら一斉に飛び立った。
雀たちを見送った後、宗兵衛は竹伐りを再開したが、ふと耳元で「ありがとう宗兵衛さん。もう日が暮れるから家におかえり」という声が聞こえた。
その声に従って家に帰ると、誰もいないはずなのに煙突から煙が上がっていた。
中に入ると、山海の珍味が並んだ膳が置かれ、美しい娘が「おかえりなさい」と両手をついて迎えてくれた。
宗兵衛は夢心地のまま膳の前に座り、娘の酌を受けて酒を飲んだ。
娘の差し出す酒、焼き魚に炊いた筍、どれも非常に美味しく、宗兵衛は嬉しくなって踊り出した。
踊る宗兵衛を、娘は嬉しそうな顔でじっと見つめていたという。
『舞鶴の民話 第三集』「すずめの恩がえし(志楽の吉坂)」より
伝承地:舞鶴市鹿原(志楽庄は現在の志楽川流域にあった)