塩谷の観音 (しおたにのかんのん)


昔、塩谷村の子供たちが観音堂から観音像を持ち出し、寄ってたかって真二つに割ってしまった。
子供たちは悪いことをした恐ろしさに、皆それぞれの家に逃げ帰った。
その中の一人の幼児も家に戻ったが、折り悪く祖母が観音堂へ参るところだった。
幼児は祖母に連れられ渋々観音堂へ向かったが、途中で怖くなり「観音さんはお堂にいないよ」と訴えた。
不思議に思った祖母がお堂の方を見ると、石段の先を観音像が歩いていた。
それを見た幼児は一目散に逃げたが、残された祖母は一人でお堂に近づいた。
するとそこには二つに割れた観音像が倒れていた。
祖母は驚き、割れ目を合わせてお堂の中へ納めると、急いで帰宅して幼児に事情を聞いた。
事の真相を知った祖母は「お詫びしなければ」と、幼児を連れて再び観音堂に参った。
するとお堂の中から「心配することはない。もう傷は治ったよ」という声がした。
二人が恐る恐るお堂を覗くと、割れていたはずの観音像は傷跡もなく、元通りに直っていたという。

『和知町 石の声風の音』「塩谷の観音さん」より


伝承地:京丹波町塩谷