夜久野の狐 (やくののきつね)


久美浜のデコ芝居(人形芝居)の一座が、京で興行した帰り道、夜久野の原(千原?)で日が暮れてしまった。
すると若い男が来て「家に泊める代わりに大広間で芝居をしてほしい」と提案したので、一座は喜んで承諾した。
そして一座はその家で風呂をもらい、食事を振舞われた後、いよいよデコ芝居を始めた。
するとみるみる内に大広間は見物人で一杯になり、多額の見物料を得ることが出来た。
ところが芝居を進めるにつれ、太夫の体が段々と冷えてきたので、不思議に思い座長に相談した。
すると話をしている内に夜が明け、いつの間にか二人は何もない野原に立っていた。
見ると、デコ使いの車は滅茶苦茶に壊されており、更に風呂と思って入ったものは野壺で、見物料で支払われた金は全て木の葉に変わっていた。
こうしてデコ芝居一座は身上を潰されてしまったという。

『おおみやの民話』「夜久野の狐(二)」より


野壺風呂や木の葉のお金はまだいいとしても、商売道具をバッキバキに破壊するのは流石にやり過ぎでは……。
デコ芝居に恨みでもあったんでしょうか。


伝承地:福知山市夜久野町千原?