太光薬師 (たこうやくし)


昔、川北村に東禅寺という大伽藍があったが、天正年間、明智光秀に攻められ焼失した。
だが本尊の薬師如来像は村人が持ち出したことで難を逃れ、それからは村の薬師堂で祀られた。
ところがある時、盗人が薬師堂に忍び込み、如来像を盗み出した。
盗人は如来像を売り飛ばすため京を目指したが、老ノ坂(亀岡市)に差しかかったところで、背後から「盗人、盗人」と呼び止められた。
そして背中に負った如来像が「わたしゃ丹波の太光薬師! 帰りたいわいな川北へ!」とはっきり言った。
驚いた盗人は如来像に何度も謝罪すると、像を川北村の薬師堂に戻し、どこかへ逃げ去ったという。

『福知山の民話と昔ばなし集』「太光薬師さま」より


持ち出された像などが元の場所に帰りたいと訴えるお話。
男岩(福知山市)
帰ってきた毘沙門天(舞鶴市)


伝承地:福知山市川北