夜もの (よもの)


昔、ある男が夜の三浜峠を歩いていた。
三浜峠は猿が多く、男は猿の悪戯を避けるため、一匹捕まえて生き肝を取り、竹に挟んで歩いていた。
生き肝を見た猿は逃げ出していったが、代わりに妙な気配が後ろから迫って来た。
男が立ち止まると後ろの気配も止まる。
男は「夜もの(夜に出る化け物)がついたな」と考え、般若心経を唱えたが効果はなかった。
そこで次に般若心経を逆さに三回唱えてみると、夜ものの気配は消えた。
それ以来、この男に夜ものがつくことはなくなったという。

『わが郷土 丸山小学校創立百周年記念誌』「さかさ心経 -小橋-」より


参考書籍では、男が夜ものにつかれなくなった理由を「ただでさえ難しい心経を逆さに唱えられるような人は法力に通じた者だ、と夜ものが認めたからではないか」と解釈しています。
ちなみに小橋では化け物だけでなく狼も“夜もの”の類と考えられていたそうです。


伝承地:舞鶴市小橋