悪竜 (あくりゅう)
昔、丹後半島の岬の近海には“悪竜”が潜んでいると言われていた。
大きな竜が岬の洞窟に入るところを見た者、舞鶴の冠島や沓島の近くで「ギャオーウー」という竜の鳴き声を聞いた者もいた。
悪竜は尻尾で舟をはねて転覆させ、海に落ちた漁師を飲み込むこともあった。
夜になると海上に悪竜の赤い双眸が輝くので、人々は海を見ることなく、固く戸締りをしたという。
特に海が大荒れの時は「竜が暴れている」と言って、夜も眠れない程恐れたという。
そんなある日、村を通りかかった坊主が悪竜の話を聞き、岬の先端へ向かった。
そして岩の上に座り、三日三晩文殊真言を唱え続けると、その経に惹かれて海から悪竜が現れた。
悪竜は坊主の説教を受けて改心し、経を唱えながら遠くの海へ旅立った。
それ以来、坊主が経を唱えたことから、この岬を「経ヶ岬」と呼ぶようになったという。
『丹後町の民話』「経ヶ岬(袖志)」
『郷土と美術』82号「丹後の海の伝説」より
ちなみに岬の由来ですが「坊主が悪竜を改心させた後、岬に一万巻のお経を納めたので「経ヶ岬」と呼ぶようになった」とも言われています。(『外海のまち 丹後町』)
岬の周囲の岩(柱状節理)が経巻を立てたように見えることから「経ヶ岬」の名がついたという説もあり、また香木が流れ着いた所なので「香が崎」とも呼ばれたそうです。(『宮津府志』『丹後旧事記』)
美女に化けて坊主をたぶらかす龍の話はこちら。
伝承地:京丹後市丹後町袖志・経ヶ岬
