カナゴ岩の白鯰 (かなごいわのしろなまず)*
江戸時代、船岡上河内に千手間惣八という長者の油屋がいた。
ある日、惣八が大堰川の継岩の辺りを歩いていると、髪の長い色白の美女が現れ「この小重箱を金輪ヶ渕のカナゴ岩まで届けておくれ。決して途中で開けたり、箱を取りに来る者を見てはなりません」と言って岩の中に消えた。
惣八は美女に言われた通り、小重箱をカナゴ岩に置いて家へ帰った。
それからというもの、みすぼらしい乞食坊主が毎日同じ時間に惣八の店を訪れ、決まった量の酒を買って行くようになった。
惣八は不思議に思い、ある日その坊主の後をつけてみたところ、坊主は金輪ヶ渕のカナゴ岩の中に消えた。
すると水底から白鯰が現れ、乞食坊主の声で「私はこの渕に棲む白鯰である。小重箱を渡した女は継岩に棲む白大蛇じゃ。お前は見てはならぬ正体を見てしまった。お前の長者もこれで終わりじゃ」と言って再び水中に姿を消した。
その後、千手間家は没落し、大正時代に船岡から消えてしまったという。
『園部探訪』「長者千手間惣八と一揆」より
この辺りの水は涸れたことがなく、旱魃の時は渕に棲む白鯰に頼めば雨を降らせてくれると言い伝えられています。(『園部町の口碑、伝承 おじいさんたちの話』)
また、カナゴ岩の横のすっぽん岩(右の小さめの岩)に大きなすっぽんが棲んでいましたが、ある時、新八という商人が捕獲しました。するとそれから新八の店は徐々に廃れていったそうです。すっぽんの祟りでしょうか。(『大堰の流れ(3)』)
伝承地:南丹市園部町船岡

