谷川のお伊勢さん (たにがわのおいせさん)


昔、山南町谷川の三原家の人が大往生を遂げるため、「お伊勢さん」と呼ばれる卵塔場(墓地)に穴を掘り、中に入って念仏を唱えていた。
それから数日後、ある馬力引き(荷馬車の運送業者)がこの卵塔場の近くを通りかかり、穴を見つけた。
すると馬力引きは、ちょうど馬が出した糞を「これでも食え」と言って穴の中へ投げ入れ、笑いながら立ち去った。
だが小苗集落の手前まで来たところで、突然馬が動かなくなって倒れた。
そこで馬力引きは卵塔場まで引き返すと、急いで穴から馬糞を取り去り、中にいる三原家の人に謝罪した。
そして再び荷馬車に戻ると、馬は元気に立っていたという。

『北はりま、丹波昔ばなし百話』「谷川のお伊勢さん」より


谷川では、卵塔場に2m程の穴を掘って中に入り、断食して鉦を叩きながら念仏を唱え続ける。それによって大往生を遂げ、遺体はその場所に埋葬するということがあったそうです。いわゆる
「土中入定(土の中に埋まって悟りを開き即身仏になる修行)」でしょうか。

ちなみに亀岡市には土中入定した人が火の玉になる話があります。


伝承地:丹波市山南町谷川