ひだる神 (ひだるがみ)


昔、遠阪峠に“ひだる神”という神がいた。
ひだる神は白い髭を伸ばしボロボロの着物を着て、長い杖を突いて峠や墓に出るという。
ゴミを捨てたり立ち小便をしたりすると現れ、ひだる神を見た人は途端に腹が減って力を失い、冷や汗が出て歩けなくなるという。

ある時、但馬国村岡(兵庫県美方郡)の牛飼い五人と庄助という世話人の男が、牛を連れて京へ向かっていた。
その途中で牛飼いたちは遠阪峠の頂上の茶店で休憩し、庄助は先に峠を下りて宿で五人を待つことにした。
だが夕方になっても宿に来ないので、庄助が峠の麓の村まで迎えに行くと、牛飼いたちは青い顔をして座り込んでいた。
牛飼いたちは「峠の茶店で昼飯を食べた後、麓に下りてきたところで五人並んで立小便をしていた。すると誰かが後ろをすうっと通った。その途端に腹が減って力が抜け、動けなくなってしまった」と説明した。
庄助は「所構わず小便したり牛の糞を片づけないで道を汚したから、ひだる神が怒ったのだ」と言って、六人で遠阪峠の方向に頭を下げ謝罪したという。

『丹波のむかしばなし 第十集』「遠阪峠のひだる神」


遠坂峠のひだる神は妖怪というよりも、峠を汚す輩に罰を与える神様的な存在と考えられていたようですね。

また福知山市にもひだる神が憑く峠があります。


遠阪峠
丹波市と朝来市を繋ぐ遠坂峠(丹波市側)。
急カーブが続くなかなかハードな峠ですが、近くの遠坂トンネルが有料だからか交通量は割と多めです。


伝承地:丹波市青垣町遠坂-朝来市山東町柴・遠坂峠