福の神 (ふくのかみ)


昔、越方の谷口家は、大晦日のもち米すら用意出来ない程貧乏だった。
ある年末、谷口氏は「せめてぼた餅くらいは」と思い、何とかぼた餅を作り神様に供えようとした。
すると杖を突き、かます(藁の袋)を担いだみすぼらしい長髪の老人が家を訪ね、一晩の宿を求めた。
谷口氏は快く泊めたが、翌朝になると老人は消えており、かますだけが残されていた。
不思議に思いかますを検めると、中には大量の金銀が入っていた。
「昨日の老人は福の神に違いない」と考え、この金を元手に谷口家は大いに栄えたという。
以来、谷口家では大晦日になると、古びたかますを床の間に祀り、福の神へ感謝すると共に先祖を偲ぶようになったという。
その後、かますは谷口家の分家に譲られたという。

『園部町の口碑、伝承 おじいさんたちの話』「おおみそかの福の神」より


谷口家には、かますを背負った老人が貧乏な農家を訪れる様子を描いた画軸が家宝として保管されているそうです。(現存しているかは不明)


伝承地:南丹市園部町越方