今西中の天狗 (いまにしなかのてんぐ)*
今西中では、村人が急に姿を消すことがあった。
村中総出で捜しても見当たらず、村人たちが半ば諦めかけた頃、思いがけない遠くの場所で発見されるという。
今西中ではこれを「天狗にさらわれた」と言っていた。
ある時、今西中の老婆の姿が急に見えなくなり、村は大騒ぎになった。
足跡すら見つけられず思案に暮れていると、老婆は「行者ハン」と呼ばれる、今西中と梅谷の間の峠にある行場(行者信仰の修行場)で発見された。
老婆は元気だったが、どうやって行者ハンまで来たのか覚えておらず、履いていた草鞋も新品同様で歩いた形跡がなかった。
村人たちは「やっぱり天狗にさらわれたんじゃ」と考えたという。
『夜久野町史 第一巻(自然科学・民俗編)』「天狗にさらわれた話」
『丹波夜久野の話』「今西中の『天狗にさらわれた話』」より
天狗とは別に、今西中では子供が急にいなくなることがあり、これを「神かくしに遭う」と言っていました。
神かくしに遭うのは黄昏時が多かったので、親は子供が夕方に「かくれんぼう」などの遊びをすることを嫌い、「バンガタ(晩方)に物置の陰や小屋の隅で遊んだらアカン」と言って強く戒めていたそうです。
伝承地:福知山市夜久野町今西中