送り狐 (おくりぎつね)


昔、善王寺に魚売りの老人がいた。
この老人は宮津まで魚を買い付けに行っていたが、その時はいつも狐がついて来るという。
老人が宮津へ行き、買った魚やチクワなどを担いで峠まで戻って来ると、急に背中の荷物が軽くなる。
「また迎えに来てくれたのか」と声をかけると、狐が老人の頭を後ろからぽこんと叩く。すると次は手に提げている荷物が軽くなる。
老人が「よく来てくれた。帰ったら駄賃をやるで」と言うと、二匹の狐がペッチャペッチャと音を立てながらついて来る。
そして善王寺の近くに来たところで駄賃のチクワを二本投げると、狐は老人に頭を下げ、それらを咥えて帰って行くという。
この“送り狐”は悪さをしない狐だと言われている。

『おおみやの民話』「送り狐」より


伝承地:京丹後市大宮町善王寺