法蓮寺狐 (ほうれんじぎつね)


昔、下小倉の法蓮寺という無住の寺に狐が棲み着いていた。
ある夏の夜、下小倉の老人は田圃へ水を入れるため、法蓮寺から北中へ抜ける獣道を歩いていた。
その夜は月が出て明るく、通り慣れた道なので提灯も持たずに歩いていたが、獣道と農道が交差する所まで来ると、急に辺りが暗くなった。
老人は「ここで慌てたらとんでもない所へ連れて行かれる」と考え、道端の石に腰かけて煙草に火を点けた。
そして心を落ち着けて般若心経を唱えると、やがて辺りは明るくなった。
「今夜も狐が悪さをしおったよ」と言って、老人は笑ったという。

『続 おばあちゃんのむかしばなし』「法蓮寺狐の話」より


伝承地:丹波市柏原町下小倉