砂をかけるもの (すなをかけるもの)


昔、下夜久野村に小さな店があり、そこに金助という働き者の老人が住んでいた。
金助は他の町から買いつけた商品を売っており、安く仕入れるために遠くの町へ行くこともあった。
ある時、金助は出石(兵庫県豊岡市)まで買いつけに行ったが、夜久野に帰る頃には日が暮れていた。
帰り道の大油子の辺りでは狐が女に化けたり、狸が大入道に化けたりして、通行人を悩ましていた。
金助は怯えながらも、何かが出たら天秤棒で殴りつけてやろうと心に決め、夜道を歩き続けた。
すると左側にそびえる崖の上の草が揺れ、バラバラバラ、ザァザァザァと砂が降りかかってきた。
金助は天秤棒を振り回しながら「さぁ来い! 何者だ!」と叫んだが、なおも砂は降り続けた。
金助は気味が悪くなり、逃げるようにその場を立ち去ったという。

『天田郡志資料 上巻』「金助爺さん」より


ちなみに同じ夜久野町の今西中にも、崖の上から砂をまく何かがいたそうです。
今西中の方は狐が正体だとされていますが、金助爺さんに砂をかけたものは何だったんでしょう。こちらも狐?




伝承地:福知山市夜久野町大油子付近