狐の恩返し (きつねのおんがえし)*
昔、浜詰に孝菴(こうあん)という名医がいた。
家の前を通る人の声を聞いて「彼は○ヶ月後に病にかかる」と言い、その予言が適中したこともあったという。
ある夜、孝菴が床に就こうとすると、下の浜辺から「孝菴さん、孝菴さん、フグの真子喰って腹痛い」と狐の悶える声が聞こえてきた。
早速孝菴は薬を調合し、家人に浜へ持って行かせると、やがて狐の鳴き声は止んだ。
翌朝、孝菴の家の前には秣(まぐさ)が積んであり、「世の中には恩知らずが多いのに、狐でさえ助けられたお礼を返しに来たか」と感心したという。
浜詰では、村人が「こうあんさん、こうあんさん」と言えば、他の誰かが「ふぐのまご食って、腹いたい」と合言葉のように答えるという。
『丹後の民話 第二集 -ふるさとのはなし-』「きつねの腹痛を治した孝菴さん」より
丹波丹後地域の動物恩返しシリーズ。
伝承地:京丹後市網野町浜詰