天神さんの豆狸
(てんじんさんのまめだぬき)
(てんじんさんのまめだぬき)
昔、高屋の天神さん(天満神社)の森に悪戯好きの豆狸が棲んでいた。
ある秋の雨の夜、酒屋の戸を叩く者があった。
だが外には誰もおらず、空の徳利と五文ばかりの金が並べてあった。
それを見た酒屋のおかみは「また豆狸か」と笑い、徳利に酒を入れて戸口に置いておくと、翌朝にはなくなっていたという。
またある時、源さんという人が川へ雑魚獲りに出かけたが、豆狸に先回りされ雑魚を全て獲られてしまった。
「また豆狸にやられた」と諦めて家路につくと、道端に大量の栗の実が落ちていた。
これは豆狸がくれたものだとすぐにわかったという。
豆狸はこのように優しい心を持っていたので、村人たちから可愛がられていた。
そんなある日、村の猟師が妙見山で古狸を撃ち殺した。
するとそれ以来、村の人々が豆狸の悪戯話を耳にすることはなくなったという。
『親と子のふるさと西紀の民話集』「天神さんの豆狸」より
伝承地:丹波篠山市高屋