狐の仇討ち (きつねのあだうち)


昔、ある魚売りの女が熊野郡へ向かっていた。
するとその途中にある「かつみ橋」の上で狐が眠っていたので、杖で軽く叩き、大声を上げて脅かすと、狐は驚いて川に落ちた。
それを見た女は腹を抱えて笑い、その場から立ち去った。
その日の夕方、女がかつみ橋まで戻ってくると、急に辺りが暗くなり、隣家の男が来て「お前の爺さんが死んだ」と告げた。
急いで家に戻ると、既に親戚や近所の人々が集まっており、彼女を迎えてくれた。
そして棺桶の前に座って拝み始めると、棺桶がゴソゴソと動き出し、女の方へ近づいてきた。
女は驚いて後ずさりしたが、尚も棺桶は近づいてくる。
女は後ずさりし続け、遂に上がり端から土間へ転がり落ちてしまった。
その瞬間、ドブンと水の音がして、気づくと女はかつみ橋の下の川にはまっていたという。

『ふるさとのむかしむかし』「狐に仇討された話」より


ちょっかいをかけなければ化かされることもなかったでしょうに……。


伝承地:京丹後市網野町網野