君尾山の天狗 (きみのおさんのてんぐ)
昔、光明寺の住職は君尾山に棲む天狗を懲らしめようと考えた。
そして天狗を呼び出し「二王門(光明寺の山門)まで飛び合いっこをしよう」と言って、住職と天狗は本堂の屋根から二王門まで飛んだ。
すると天狗が「今度は後ろ向きに飛ぼう」と持ちかけてきた。
住職は流石に無理だと思ったが、何とか後ろ向きに飛ぶことが出来た。
だが提案した天狗は飛べなかったので、住職に「天狗の詫び証文」を残したという。
『由良川子ども風土記』「君尾山の天狗と大とち」より
綾部市の伝承をまとめた『ふるさとのかたりべ』という本にも同様の話がありますが、こちらでは光明寺の住職が天狗の悪戯をやめさせるため、君尾山から古屋の奥山(綾部市と南丹市の境にある標高848mの山)まで気合でジャンプした、という話になっています。
住職のジャンプ力に驚いた天狗は二度と悪さをしないと誓い、それからは奥山で畑を耕して大人しく暮らしたそうです。
ちなみに光明寺本堂から二王門までは直線距離で約300m、君尾山から古屋の奥山までは約6kmあります。
この距離を飛んだ住職こそ天狗なのでは……。
また福知山市には「大江町の元伊勢神社の社掌が天狗に憑かれた時、地上から6m以上もある二階の屋上に飛び上がり、またそこから逆立ちで地上に降りる動きを何度も繰り返した」という話があります。(『妖獣霊異誌』)
伝承地:綾部市睦寄町・光明寺