尺八を封じた和尚
(しゃくはちをふうじたおしょう)


昔、ある虚無僧が荒山村の寺を訪れ、尺八も吹かずに昼食を求めた。
和尚は虚無僧の無作法な態度に腹を立てながらも、怒りを抑えて昼食を用意した。
虚無僧は昼食を待つ間、「自分は三寸(約9cm)の厚みのある物でも見抜き通せる技がある」と自慢していた。
そこで和尚は食事の膳の裏側に箸を貼り付けて虚無僧に差し出した。
それと知らずに虚無僧が箸を要求すると、和尚は「貴僧は三寸の厚みの物を見抜けると言っていたではないか」と嘲笑い、箸は膳の裏側にあると教えた。
すると虚無僧は顔を汗塗れにし、食事をするどころか挨拶もそこそこに寺を辞した。
気を良くした和尚は昼食をとろうと思い、湯を汲みに行ったが、何故か茶釜の蓋が取れなくなっていた。
和尚は「先程の虚無僧が腹いせに茶釜の蓋を封じたのか」と憤り、報復に虚無僧の尺八を封じる呪文を唱えた。
すると間もなく虚無僧が舞い戻り、「尺八が急に鳴らなくなった。尺八が鳴らなければ虚無僧として生きていけないので今日限り辞める。鳴らない尺八も不要になったのでこの寺に寄付していく」と言って立ち去ったという。

『丹後の伝説 ふるさとのはなし』「由緒ある「尺八」について」より


峰山町荒山の菩提寺(少林寺?)には、この虚無僧が置いて行った尺八が寺宝として所蔵されているそうです。


伝承地:京丹後市峰山町荒山