飴を買う幽霊 (あめをかうゆうれい)*
昔、広小路から菱屋町へ入る角に飲食店があり、その裏に「アメ長」という水飴や茶を売る店があった。
ある年の夏、夜な夜なこの店へ飴を買いに来る女があった。
年齢は三十歳程で非常に肌が白く、どこか寂しそうな様子だった。
アメ長はその態度を不思議に思い、ある夜、いつものように飴を買いに来た女の後を追いかけた。
すると女は永領寺の境内に入り、墓場に来たところで突然姿を消した。
その瞬間、青い火の玉がボーッと飛んで行ったので、アメ長は恐ろしくなって逃げ帰った。
翌朝、再び永領寺の墓場へ行くと、夜半に降った雨で墓が窪み、女の死体が露出していた。
そしてその死体の腹から赤子が飛び出していた。
生前妊婦だったこの女は、死後も棺桶に入れられた六文銭を一枚ずつ使い、飴を買って赤子に与えていたのだという。
『ふるさとの話題 75集』昭和五十年十月号「菱屋町の怪!赤児にアメを」より
死んだ妊婦が幽霊になって赤子に飴を買い与える話は「飴買い幽霊(子育て幽霊)」という怪談で、各地に類話が見られます。
京都府だと京都市東山区の「みなとや」という飴屋さんに、夜な夜な女幽霊が我が子のために飴を買いに来たという伝説があります。
ちなみに「みなとや」は現在も営業中で、飴買い幽霊にちなんだ「幽霊子育飴」という飴を購入出来ます。
また福知山市牧の永明寺の開祖・大極和尚(九州出身)も、死んだ母の幽霊に飴を与えられて生き延びたと伝えられています。(『福知山の民話と昔ばなし集』)
アメ長は右のビル(以前はレストラン)の裏にあったそうですが、現在は駐車場になっています。
コンクリ製のハイカラなお寺です。(本堂右側に墓地)
伝承地:福知山市菱屋

