貧乏神 (びんぼうがみ)
昔、ある所に大変貧乏な家があった。
一家五人は食べていくことが出来ず、ある日、家族全員で物乞いに出ようとした。
するとそこへ小さな男の子が現れ、「わしも連れて行ってくれ。わしは貧乏神で、いつもこの家の縁の下にいたんだ」と言った。
家人が「お前のせいで貧乏なのだ」と文句を言うと、男の子はどこかへ行ってしまった。
しばらくすると男の子が戻って来て「これを四升鍋で炊いて食べてくれ」と言って一握りの米を渡した。
言う通りにしてみると、四升鍋が一杯になる程の米が炊けたので、家族はそれを食べて腹を満たした。
その年の大晦日、相変わらず一家は貧乏で、正月の餅すら用意出来ない有様だった。
すると男の子が夜中に隣の金持ちの家に行き、沢山ある餅に赤色の着色料をつけて回った。
翌朝、金持ちは赤く染まった餅を見て「こんな汚い血がついている餅など食べられない。全部捨てろ」と命令した。
そこへ男の子が現れ「捨てるなら私に下さい」と頼み、赤い餅を全て貰い受けた。
男の子は餅を貧乏な家に持って帰り、そのおかげで家族五人は楽しい正月を迎えることが出来た。
その後、男の子の仕業かわからないが、金持ちの家は徐々に貧しくなっていき、反対に貧乏な家は栄えていったという。
『丹後 伊根の昔話』「貧乏神」より
伝承地:伊根町本庄上