浜辺で舞う人影 (はまべでまうひとかげ)


昔、太鼓浜(琴弾浜) の近くの遊集落に目を患う主婦がいた。
ある日の夜明け前、主婦は浜辺で鞠をつき、舞を舞う人影を見かけた。
主婦は人影のことを家族に話したが「目が悪いから何かと見間違えたのだろう」と誰も信じなかった。
だがあまりに食い下がるので家族全員で見に行くと、浜辺に人影はなく、代わりに観音像が置かれていた。
そこで家族はその観音像を持ち帰り、お堂を建てて祀った。
その後、主婦は毎朝お堂に参拝している内、みるみる目の病気が良くなっていったという。
やがてこの話は近郷に伝わり、目を患う人々が続々とお堂に参拝し、同じようにご利益を受けるようになった。
そしていつからか、祈願の印としてお堂に手鞠が奉納されるようになったという。
また、この観音像は何か一つは必ず叶えてくれるとも言われている。

『丹後の伝説 ふるさとのはなし』「何か一つはかなえて下さる観音さま」より



琴引浜
網野町掛津の琴弾浜。鳴き砂の浜で有名です。
観音像はこの浜で見つかったと伝えられています。
ちなみに人影が舞い踊っていたことから、観音像があった辺りは「舞浜」と呼ばれています。
浜辺で舞っていた人影は観音像だったのでしょうか。

また、お隣の兵庫県豊岡市但東町には、夜な夜な里の近くで踊る薬師如来像の話が伝えられています。(『但東の民話と伝説』)
仏像はダンスがお好き?


伝承地:京丹後市網野町掛津