光明寺の天狗 (こうみょうじのてんぐ)
昔、君尾山の光明寺の近くに天狗が棲みつき、悪さをして人々を困らせていた。
ある日、和尚が用事で外出すると、それまで真っ暗だった本堂が何本もの蝋燭を灯したように急に明るくなった。
そして真っ赤な法衣を来た坊主がずらりと並び、一斉に読経を始めた。
留守番の小僧たちは「天狗の仕業だ!」と言って、本堂横の間に寄り集まって震えていた。
やがて和尚が帰って来て、寺の門前で咳払いをすると、本堂の灯りも沢山の坊主も消え失せたという。
また、ある百姓が薪や柴を山に積んでおいたところ、天狗が大風の吹くような音をさせ、一夜の内にどこかへ隠してしまうこともあった。
そこで和尚は天狗を呼び出し、悪さをやめるよう言い聞かせた。
すると天狗は「この寺は『葷酒山門ニ入ルヲ許サズ』(*)と書いてあるのに沢山の酒がある。酒をやめられたらもう悪さをしない」と言った。
和尚が「それはもっともだ」と承諾すると、天狗は喜んで詫び証文を認め、それからは悪さをしなくなったという。
『京都 丹波・丹後の伝説』「光明寺の天狗」より
(*)ネギやニラなど臭いの強い野菜や酒の類は修行の妨げになるので寺内持ち込み禁止!という戒律。
光明寺の住職と天狗のジャンプ対決。
伝承地:綾部市睦寄町・光明寺