滑らの河童 / 北山の豆狸
(なめらのかっぱ / きたやまのまめだぬき)
昔、宮田川の滑らという深い淵に、悪戯好きの河童が棲んでいた。
河童は昼は淵で遊んでいるが、飽きると井堰まで来て村人をからかい、夜になると村境にある湫(ふけ)という竹藪の中で眠っていた。
また、近くの北山には悪戯好きの豆狸が棲んでいた。
豆狸は昼は天王の森で寝ているが、夕方になると街道に出て来て村人に悪戯をしていた。
こうして昼は河童、夜は豆狸と交互に悪戯されるので、村人たちは大変困っていた。
ある時、村一番の腕白坊主の庄吉は、河童と豆狸を懲らしめてやろうと考えた。
まず庄吉は滑らの水をせき止め、河童を退治しようとしたが、何日経っても淵の水は減らず失敗に終わった。
だが庄吉は挫けず、次は豆狸を退治する計画を立てた。
庄吉は「豆狸は酒が大好きだ」という祖父の言葉を思い出し、家から祖父が大切にしている一升徳利を持ち出して天王の森へ向かった。
庄吉は「豆狸は酒が大好きだ」という祖父の言葉を思い出し、家から祖父が大切にしている一升徳利を持ち出して天王の森へ向かった。
そして酒を餌に待ち続けたが、豆狸は一向に現れなかった。
庄吉は暇を持て余し、酒を一口舐めてみたところ、あっという間に酔いが回り、徳利を抱えたまま眠ってしまった。
すると祖父が夢枕に立ち「豆狸を退治したいなら『小豆三升に米三升、合わせて供えてガーシャガシャ』という呪文を三回唱えるといい。河童も豆狸の親類みたいなものだから、この呪文を聞いたらいなくなるだろう」と告げた。
庄吉は夢から覚めた後、ふと天王の森を振り仰ぐと、小豆と米が三升ずつ載せられた三宝と、庄吉が抱えていたはずの一升徳利が神前に供えられていた。
それ以来、滑らの河童も北山の豆狸も姿を現さなくなったという。
『親と子のふるさと西紀の民話集』「北山の豆狸と滑らの河童」より
何故か参考書籍では河童&豆狸を退治するシーンが省略されていますが、おそらく庄吉は祖父のアドバイスを元に呪文を唱え、二匹を懲らしめることが出来たのでしょう。
それにしても、孫の夢枕に立って的確なアドバイスする祖父は一体何者なんだ……。
伝承地:丹波篠山市高屋、黒田