狐の提灯行列
(きつねのちょうちんぎょうれつ)


昔、十兵衛という碁の好きな百姓がいた。
ある夜、十兵衛が寺墓という所を通ると、向かいから提灯を灯した行列が現れた。
提灯は列が進むにつれ少しずつ大きなものになっていき、十兵衛の前を通る頃には高張提灯になっていた。
その次に綺麗な籠が通り、後から小さな提灯が三つ、並んで通り過ぎて行った。
そして行列は徐々に小さくなっていき、遂に消えてしまった。
その翌日も翌々日も、寺墓に来ると提灯行列が通るので、十兵衛は「おのれ、狐が化かしているな。馬鹿にしやがって」と腹を立てた。
そこで碁打ち仲間の栄助に相談したところ、「籠を鍬で叩いてみろ」と助言を受けた。
次の夜、十兵衛は鍬を持って寺墓へ行き、隠れて待っていると、やがて提灯を灯した行列が現れた。
そして高張提灯が通り過ぎ、綺麗な籠が前を通った瞬間、十兵衛は籠を鍬で殴りつけた。
すると「キャン、キャーン」という悲鳴が響き、大小の提灯や籠は消え、辺りは暗闇になった。
地面には牛の骨が落ちており、十兵衛は「これを咥えて化かしていたんだな」と考え、その骨を家に持ち帰った。
すると深夜二時頃、家の戸が激しく叩かれ「十兵衛さん、わしは栄助だ。良いものを拾ったそうだな、わしにも見せてくれ」と、外から栄助の声がした。
十兵衛は不審に思い、答えずにいると、バラバラッと屋根に石を投げ当てる音がした。
その音は凄まじく、十兵衛は「狐が骨を取り返しに来たんだ。この骨を持っていてはいけない」と思い、戸を開けて骨を外に放り投げた。
その途端、音は止んで静かになったという。

『丹後の民話 1 狐狸ものがたり』「狐のちょうちん」より


伝承地:京丹後市丹後町のどこか