畑を荒らす狛犬 (はたけをあらすこまいぬ)


昔、日置村の村人が野菜畑へ収穫に行くと、畑は何者かによって滅茶苦茶に荒らされていた。
村人たちは猿や猪の仕業だと考え罠を仕掛けたが、何も捕まえられず畑は荒らされるばかりだった。
そこで畑荒らしの正体を突き止めるため、村人たちは一晩中畑のそばに隠れて見張ることにした。
すると真夜中を過ぎた頃、村人たちの目の前を何かがものすごい勢いで通り過ぎた。
目を凝らして見ると、山王権現に祀られている二匹の狛犬が、芋を掘り返したり、野菜の上を転げ回ったりして畑を荒らしていた。
村人たちは驚き、翌日、金剛心院の住職に相談したところ、「狛犬に釘を打ちつけて動けなくするしかないだろう」と言われた。
そこで村人たちは住職に祈祷してもらい、二匹の狛犬の喉元に長い釘を打ち込んだ。
それ以来、狛犬が畑を荒らすことはなくなったという。

『日置ものがたり 上のお話~あれこれ~』「釘を打たれた狛犬」より


畑を荒らした阿吽の狛犬は欅製で、鎌倉時代初期に作られたものと言われています。
元は日置村の山王権現に祀られていましたが、明治四年(1871)に山王権現、若宮神社、浅田神社が合祀されて若田神社になったタイミングで、山王権現の別当寺院である金剛心院に引き取られたそうです。


夜な夜な天橋立を歩き回る狛犬。


伝承地:宮津市日置