日ヶ谷の白狐 (ひがたにのしろぎつね)


昔、日ヶ谷に老婆が住んでおり、家の前に小さな洞穴があった。
その洞穴に一匹の白狐が棲んでいたが、大根を盗んだり、娘に化けて餅と騙して馬糞を食べさせたり、いつも悪戯をするので村人から嫌われていた。
ある雪の夜、老婆が家で大根を煮ていると、村人が来て「白狐が死んでいるぞ」と言った。
老婆は急いで外へ出たが、白狐の姿はどこにもなく、「白狐に一杯食わされた」と慌てて家の中へ戻った。
すると大根を煮ていた鍋は空になっており、囲炉裏の前では白狐がグーグーといびきをかいて眠っていた。
怒った老婆が薪で殴りかかると、白狐はパッと起き上がり、外へ逃げて行ったという。

『子どもがつづる丹後の歴史』「昔話白ぎつねを聞いて」より


大根を平らげた後も逃げずにその場で呑気に眠りこけるとは……大胆な狐ですね。


伝承地:宮津市日ヶ谷