美女に化けた狐 (びじょにばけたきつね)


昔、曽我部村法貴の丈右衛門という人が、山から帰る途中で美女に出会った。
二人は連れ立って歩いていたが、美女が「疲れたから手を引いて」と言うので、丈右衛門は「狐が化けているのだな」と思い、その手を強く握りしめて歩いた。
すると今度は「手が痛いから持ち替えてほしい」と言うので、丈右衛門は逆の手を握って家まで戻った。
そして家に着くなり「そら狐じゃあ」と怒鳴りながら美女を庭に叩きつけた。
ところが、ガランガランという音がしたのでよく見ると、狐の手だと思って握っていたものは木の端くれだった。
美女に化けた狐は、丈右衛門が手を持ち替えた時に木の端くれを掴ませ、うまく騙したのだという。

『口丹波口碑集』「狐の話」より


手を持ち替える一瞬の隙を突いて自分の手と木を交換する早業。テクニシャンですね。


伝承地:亀岡市曽我部町法貴