白無垢 (しろむく)


昔、新宮の八郎という男が田圃で仕事をしていると、ふと鍬が石に当たったような音がした。
見ると、石の間に“白無垢”というものがいたので、八郎はそれを捕まえて持ち帰り、箱に入れて大事に飼った。
だが白無垢は次第に大きくなり、箱の中にいられなくなった。
すると白無垢が「出してくれ」と頼むので、八郎は可哀想になり箱から出してやった。
白無垢は「一月後の日暮れに小野坂の登り口に来てくれ。そこへ白馬に乗った侍が来るから棒で殴るのだ。そうすれば良いことがある。もし出来なくても、次に赤馬に乗った侍が来るからそれを殴るといい。それも駄目なら、最後に黒馬に乗った侍が来るからその時こそ殴れ」と言って、山へ帰っていった。
一月後の日暮れ、八郎が小野坂で待っていると、坂の上から白馬に乗った白い侍が下りてきた。
八郎はその侍を棒で殴りつけたが、間違って尻を叩いてしまい失敗した。
すると、次は赤馬に乗った赤い侍が下りてきたので、同じように棒で殴りつけたが、今度は早すぎて上手くいかなかった。
次に黒馬に乗った黒い侍が来たので、八郎が棒を横薙ぎに払うようにして殴ると、馬と侍はガチャガチャと崩れるような音を立てて転んだ。
八郎は一旦家に帰り、翌朝再び小野坂に行って確認すると、馬の形程の山になった穴明き銭が落ちていた。
白馬は小判、赤馬は銅貨(*)だったに違いないということだった。
そして八郎はその銭を得て幸せになったという。

『丹後の民話 第一集 いかがのはなし』「白無垢の思がえし(原文ママ)」より


(*)『おおみやの民話』では「銀貨」になっている。

白無垢がどういうものなのかはわかりませんが、恩を返してくれる心があるので少なくとも悪い存在ではなさそうです。
何となくケサランパサランっぽい要素も感じますね。
「白」「箱で飼う」「飼い主は幸せになる」などのキーワードからの連想ですが。


伝承地:京丹後市大宮町新宮