かろびん
一条天皇の時代(986~1011)、“かろびん”という、顔は人間に似て、体は鳥の姿のものが山中村で羽を休めていた。
そこへ酉気という仙人が来たが、通力を失い、かろびんと共に過ごして遂に夫婦となった。
その後仙人は死んだが、かろびんはこの地に留まっていたことで自然と羽が腐ってしまい、天に帰ることが出来なくなった。
かろびんは露を食物として長い年月を過ごし、曾志比丘という人に頼んで入定したという。
『与謝郡山中村旧記』より
名前や人面鳥というフォルムから考えるに、かろびんとは迦陵頻伽(かりょうびんが)のことじゃないかと思います。
迦陵頻伽とは、上半身が人、下半身が鳥(雀や水鳥)の姿をした仏教世界における想像上の鳥です。
非常に美しい声で鳴き、その声は仏の次に素晴らしいものだとされていて、極楽浄土に棲むとも、その美声で仏法を説く存在とも伝えられています。(『日本の美術』481号「人面を持つ鳥-迦陵頻伽の世界」)
何で浄土の鳥が人間界の片田舎にいたのかはわかりませんけど。
何で浄土の鳥が人間界の片田舎にいたのかはわかりませんけど。
ちなみに、参考資料には酉気仙人が通力を失った理由は書かれていません。
『今昔物語集』に「飛行術を会得した久米という仙人が大和国の吉野川を飛んでいる時、川べりで洗濯をしている女の白いふくらはぎを見て心が乱され、通力を失ってしまった。仙人は女の元に落下し、その後二人は夫婦になった」というエピソードがありますが、ひょっとすると酉気仙人もかろびんの美しい?姿を見てドギマギし、その結果通力を失ってしまったのでしょうか。
また、宮津の地誌『宮津府志』には「皆原村(山中村の西隣)の山中に“迦陵頻伽の塚”という古塚があり、昔、ここから音楽が聞こえた。この塚に近寄れば祟りがあると恐れられ、村人は周辺の草木を刈り取らない」という話があります。
この塚もかろびんと何かしら関係があるのかもしれませんね。かろびんが入定後に埋められた塚なのかも。
伝承地:宮津市山中