姫大蛇 (ひめだいじゃ)
昔、どこからか母と娘の親子が猪鼻に移り住み、細々と暮らしていた。
やがて娘は妙齢の美女に成長したが、ある時から夜に家を忍び出ては明け方に帰って来るようになった。
母は不審に思い、家の周りを調べてみたところ、いつも娘の濡れた草履が置いてあった。
そこである夜、母は密かに娘の跡をつけることにした。
すると娘は猪鼻曽都田の東にある大池まで行き、池に入ったかと思うと、たちまち大蛇に姿を変えて水浴を始めた。
母は驚いて逃げ帰り、翌朝、帰宅した娘に外出の理由を尋ねた。
娘は正体を知られたことを察し、大池まで走って行くと、大蛇になって水中に沈んだ。
母はそれから間もなく死亡したという。
その後、明治四十年(1907)の大水害で猪鼻曽都田の山が崩れ、大きな湖が出来た。
村人たちがその湖のそばで対策を協議していると、水面から天に向かって白雲が立ち、一匹の大龍が昇天したという。
『郷土誌「三ノ宮」』「姫大蛇の池」より
娘が沈んだ大池は大正十三年(1924)に改修され、今は田圃になっているそうです。
伝承地:京丹波町猪鼻