八幡宮の御神体 (はちまんぐうのごしんたい)


昔、須津の北の谷に八幡宮が祀られており、村人はこの谷を八幡谷と呼んでいた。
ある夜、盗人が八幡宮の御神体を自分の村の氏神にしようと考え、盗み出して浜辺から舟で運び出そうとした。
ところがどうやっても舟が動かず、御神体は「須津がええ。須津がええ」と呟いていた。
そこで盗人は「八幡様は戦神だから、行く方向に矢を射れば動くかもしれない」と考え、弓を大きく引き絞り、「南無八幡大菩薩。この舟を向こう岸に動かしたまえ」と言いながら対岸に矢を放った。
すると、御神体の乗った舟はまるで矢に引かれるように走り出し、二度と帰って来なかった。
そのため、八幡谷の八幡宮には御神体がないという。

『須津の民話』「な~む八幡大菩薩」より


この八幡宮は八幡谷(小路山)に祀られていましたが、後に須津地区の西にある大師山の愛宕神社へ移祀されました。
更にその後、
明治八年(1875)に地区中央にある須津彦神社へ移祀され、現在も摂社として境内に祀られています。
御神体は帰って来たんでしょうか。


伝承地:宮津市須津