鬼の牙 (おにのきば)


昔、新宮に力持ちの男がいた。
ある時、男は青鬼と赤鬼の力比べに参加し、両方に勝利した。
すると赤鬼が「何でも好きなものを持っていけ」と言うので、男は「それならお前の牙をくれ」と言って赤鬼の牙を引き抜いた。
そして鬼の牙を持って村の近くの川まで戻ると、洗濯中の老婆に「鬼と力比べをしたらしいが、結果はどうだった」と尋ねられた。
男が「鬼よりわしの方が強かった」と言って鬼の牙を取り出すと、老婆は「見せてくれ」と頼んでその牙を手に取った。
すると老婆は口を開けて鬼の牙をはめ込み、「ああ、よく合う」と言って牙の入った歯を見せつけた。
そして恐ろしい鬼婆となって空高く舞い上がり、奥山の方へ姿を消した。
男に負けた赤鬼が老婆に姿を変え、牙を取り返しに来たのだという。

『おおみやの民話』「鬼の牙」より


伝承地:京丹後市大宮町新宮