九頭の大蛇 (くずのだいじゃ)


藤岡の東窟寺は法道仙人開基の寺と伝えられている。
この寺の裏山を登った所に洞窟があるが、昔そこに九頭の大蛇が棲んでいた。
大蛇は毎年人身御供を取っており、ある年、庄屋の娘がその役に当たった。
両親は嘆き、娘の身代わりを捜して諸国を巡ったところ、阿波国(徳島県)のある少女が身代金を貰うという条件でその求めに応じた。
そして少女は受け取った身代金を母に渡して家の急難を救った後、丹波国へ来て人身御供になろうとした。
それを知った法道仙人は健気な少女を救うため、大蛇仏の修法を行い大蛇を成仏させたという。

『多紀郷土史考 上巻』「東窟寺」より


『丹波のむかしばなし 第一集』では、九つの頭を持つ大蛇ではなく頭一つだけしかない普通の大蛇となっています。(それ以外は本文とほぼ同じ内容)
また『多紀郷土史考 下巻』では、九頭の大蛇は当時この辺りにはびこっていた葛族(九頭=葛)という悪い奴らのことで、それを法道仙人が教化したのではないかと考察されています。


伝承地:丹波篠山市藤岡奥