エトンビキ
昔、上殿山に城があった頃、夜になると遠国から鬼が来て、城の裏手にある隅谷という谷を登って侵入していた。
そこで城主の稲富之守は、上殿の人々に「藁で大蛇を作り隅谷口を防衛せよ」という御触れを出した。
この藁の大蛇が決め手となり、それから鬼は来なくなったという。
そして人々は鬼を追い返す程の力を持つ藁の大蛇に村の災厄を祓ってもらおうと考え、“エトンビキ”の行事を始めたという。
『郷土史「我が郷土」池内』「エトンビキ」より
エトンビキとは、子供たちが藁で作った大蛇(龍)を担いで各戸を回り魔除けや五穀豊穣を祈る舞鶴の民俗行事で、上殿の他、別所・上根・大波上地区などで毎年九月一日に行われています。
上殿地区では、十二支の中でも飛び抜けて獰猛で力強い龍(辰)に災厄を追い出してもらうための行事で、最初は村人全員で行っていましたが、いつしか子供の行事に移行したと言い伝えられています。
「干支を引く」ことから「エトンビキ」と呼ばれるようになったとも言われていますが、はっきりとした語源はわかっていません。(上根地区では「アクマバライ」と呼ぶ)
「干支を引く」ことから「エトンビキ」と呼ばれるようになったとも言われていますが、はっきりとした語源はわかっていません。(上根地区では「アクマバライ」と呼ぶ)
別所地区では「エントンビキ」と呼ばれており、子供たちが12,3mもの藁の大蛇を「エントンビキじゃ、ワッショイワッショイ」と掛け声を上げながら引き、各家を訪れてその家の幼児や老人の頭を大蛇で噛んで健康長寿を祈った後、裏山にある椎の巨木に巻きつけて地区の守護とし、行事を終了します。
ちなみに別所地区のエントンビキは、「昔、大蛇が里を襲った時に逃げ惑う娘たちを土蔵や便所に隠した」という故事により、この行事を行っているそうです。(『森の神々と民俗』)
伝承地:舞鶴市今田(上殿)他