狐の提灯 (きつねのちょうちん)


昔、弥助という男が長者の家で御馳走になり、土産を手に夜道を帰っていた。
だが途中で提灯の列に出会い、気づくと土産がなくなっていたので、狐に盗られたと思い列の跡をつけた。
土産を盗んだ狐は一張りの提灯を持っており、それを回す毎に提灯が一張りずつ増えていった。
弥助はそれを面白がり、狐が土産を食べている隙に提灯を盗んで逃げ帰った。
そして近所の子供を集めて狐の提灯を披露したところ、たちまち評判になった。
ある雨の日、見かけない顔の子供が来て「提灯を見せてほしい」とせがんだが、弥助は「雨が降っているので提灯が痛む」と言って断った。
子供は落胆して帰って行ったが、それは提灯を取り返そうとした子狐が化けたものだった。
やがて秋祭になり、その日も弥助は狐の提灯を披露していたが、酒やご馳走を振舞われて楽しんでいる間に提灯を狐に盗られてしまった。
それからしばらく経ったある夜、弥助は山に沢山の提灯が灯るのを見かけ、山へ向かった。
川辺に狐の親子がいたので様子を窺っていると、子狐が水を飲もうとした拍子に川に落ちてしまった。
それを見た母狐は慌てて助けに行き、弥助はその隙をついて狐の提灯を盗み返したという。

『丹後町の民話』「きつねのちょうちん 油断大敵」より


伝承地:京丹後市丹後町遠下