わらじくれ
昔、ある博労(牛馬の仲買人)の男が来見谷(弥栄町)へ牛の商談に行き、夜に大金坂を帰っていた。
その途中にある「山の神さん」という椎の木の森まで来た時、ピッチャ、ピッチャと足音が聞こえたが、振り返っても誰もいなかった。
だが歩き出すと「わらじくれ、わらじくれ」という声がしたので、博労は狸の仕業だと思い、「ほら、やろう」と言って片方のわらじを放り投げた。
ところが大栗谷口まで来ると、また「わらじくれ、わらじくれ」という声がしたので、「そんならやろう」と言ってもう片方のわらじを放り投げると、声は聞こえなくなった。
翌朝、再び山の神さんの所まで行ってみたが、投げたわらじはどこにも見当たらなかった。
博労は「狸が足が痛いので「わらじくれ」と言ったのだろう」と思ったという。
『チャンポンと鳴る鼓滝 京都府京丹後市弥栄町船木の民話』「わらじくれ」より
狸は四足歩行だからもう二足必要なのでは。
立って歩いて帰ったのかな。
音を立てながらついてくるもの。
伝承地:京丹後市弥栄町船木